2009年11月11日水曜日

HAWAII日記 完全版 タロ芋は眠らない -1-

タロ芋畑の水田に浮いている、雑草を抜いて集めていく。そして、害虫である巻貝の卵と貝を駆除する――これが、この畑の持ち主であるレネおばさんから言われた仕事だ。

水田に足を入れてみる。山から流れる水はさすがにひんやりしている。ぬかるみに足を入れていく感触が心地いい。ずぶずぶと水田に足が包み込まれるように吸い込まれていく。小さい頃、東北にある祖父母の家の水田で遊びながら作業をしたのを思い出す。

ここワイピオ渓谷の田んぼは、有機物が多く豊かな黒土と、マウナケア山に降り注ぐ雨が、川になって流れ出した水とが出会い、タロ芋を育てるのに適した水田を作り出している……。

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ぼくは、昨日このハワイイ島にやってきた。島といっても、日本の四国ほどの大きさがある。到着した午後遅くに、空港でレンタカーを借り、スーパーに立ち寄って、食料を買い込むと、まっすぐにここワイピオ渓谷を目指した。夕方に借りた家に着くと、大家さんが鍵を開けておいてくれた。



翌朝、暗いうちに目を覚ました。



上体を起こしてベッドルームから見渡せる海に目をやった。空がほんのり明るい。そして、不思議な鳴き声のカエルたちが鳥のようなカワイイ音色で鳴いている。日本の渓流にいるカジカガエルのようだ。



バルコニーに出てみる。少しだけ、東の空が明るくなって、雲のふちがちょっとだけサーモンピンクに輝いている。



家の玄関から出て、すぐそばの海が見える崖まで行くと、ちょうど東の水平線から朝日が昇ってくるのが見えた。崖の上の家で飼われている山羊と一緒に朝日を眺めた。


家に戻り、ヨーグルトに野菜ジュースという簡単な食事を済ませると、ぼくはふたたびロックアウト(崖の上)に向かった。



大きく開けた視界の先にある海、ぼくの立っている崖の上の反対側にある山の峰の塊、そして谷になった部分には、川筋と豊かな湿地が広がっている。海には、大きく雲の塊が並び、朝日を浴びて、海上や山肌に巨大な影を落としている。



あまりの気持ちよさに、五感が空気に溶け込むほど、景色の中に入って見ていると、後ろからバイクの爆音が近づいてきた。レネおばさんだった。




(-2- へつづく)








*家のリビングから眺めるワイピオの海





*ロックアウトから見る渓谷と対岸の山。手前の白い車と小屋の向こうは断崖絶壁になっている







*ロックアウトから見る海。海面に雲が反射しているのが分かる?









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