この技術を学んでいる者は「秘密の場所」と呼ばれる自分の場所を持っている。その場所へ行き、動物や鳥、生き物のこと、植物、天気、土、水、火、太陽、星、などのことを観察し学ぶ。
今朝は、暗いうちにベッドを抜け出して近所の森にある、ぼくの「秘密の場所」へ向かった。木立では鳥たちがさかんに朝のさえずりを唄っていた。今にも水分で膨らみすぎて破裂しそうなほど膨張した濃密な大気のうるおいを、ゆっくりと歩を進めながら肌で感じた。静かにしていると風が急に強くなり、鳥は声を止めた。
まるでぼくの着席を待つかのごとく、「秘密の場所」に座った時にそれは突然始まった。
雨音を聞いていると、感覚が研ぎ澄まされて、水の行方や生い立ちが自分に染み込んでくるようだった。
いま、ここに降り注ぐ雨は地表から地中に染み込んで地下水となり、川を流れやがて海へと広がる。そして、どこかで蒸散して雲となり、また目の前の雨のようにどこかで降り注ぐ。
近年、ゲリラ豪雨などと言われ、予測不能な降雨に対策が立てられるような状況になっているが、これはもしかすると自分たちがみずから進んで招いていることなのかもしれない。
目の前に繰り広げられる光景は、どんなに手の込んだ3D映画や遊園地のアトラクションよりも自分にとっては興味深くおもしろかった。
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